税理士事務所で働いていた頃は、仕事柄長時間デスクに向かうことが多く、事務所の椅子が体に合わなくて困っていました。でも独立して自分の事務所を構えたとき、まっさきに気にしたのは会計ソフトのライセンスや複合機のリースで、椅子のことは後まわしになってしまいました。開業直後はとにかくやるべきことが多すぎて、自分の作業環境のことまで考える余裕がなかったのです。
開業してしばらくは慌ただしさでそれどころではなかったのですが、落ち着いてきた半年後ごろから、首の後ろと右肩の張りが慢性的になっていきました。確定申告シーズンには特にひどくて、繁忙期が終わってもなかなか抜けない。マッサージに通い始めたのもこの時期です。費用もかかるし、根本的な解決になっていないと感じていました。自分で事務所を持つようになってかえって体が辛くなるとは思っていなかったので、少し戸惑いもありました。何が原因なのかを探るのに、かなり時間がかかってしまいました。
使っていた椅子は、知人から譲り受けた古いタイプのものでした。見た目は悪くなく、座れていたので問題ないと思っていたのですが、背もたれの高さが低くて首を支えてくれない構造でした。長時間作業するときに首が宙に浮いた状態になっていたのだと、あとから気づきました。肩が張るのも、首をずっと自力で支え続けていたせいだったのだと思います。もらいものだったので費用がかからなかった分、疑う発想がまったくありませんでした。タダで手に入ったものを疑えないというのは、盲点になりやすいのだと思います。自分の体がサインを出し続けていたのに、椅子を見ようとしなかったことが悔やまれます。
見直しを決めて、実際に複数のオフィスチェアを試しに行きました。背もたれの高さを最初に確認したのですが、首までしっかりカバーするハイバックタイプのオフィスチェアに座ったとき、首の後ろがすっと楽になる感覚がありました。それまで自力で支えていたものを預けられる感覚です。ランバーサポートの位置が調整できるオフィスチェアも試しましたが、腰と首の両方が支えられている状態がこれほど違うとは思っていませんでした。最終的に選んだのは、ヘッドレストとランバーサポートが独立して高さ調整できるタイプのオフィスチェアです。座面の奥行きも自分の体型に合わせられて、試座したときに体がぴたっと収まる感覚がありました。じっくり時間をかけて選んでよかったと思っています。
使い始めてから1ヶ月半、マッサージに行く頻度が半分以下になりました。繁忙期を越えても首と肩の張りが残らなくなって、翌日に疲れを持ち越すことがほぼなくなりました。
独立するときに椅子を真剣に選ばなかったのは、今思えば優先順位の間違いでした。毎日長時間座り続ける仕事なら、椅子への投資は自分の体を守るための必要な支出です。開業時に椅子を後回しにしようとしている方がいたら、そこだけは優先してほしいと伝えたいです。